ブレーキディスクの生産

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ブレーキディスク生産での 最適化は可能か?

世界の自動車売上は毎年記録が更新されています。しかし、世界のすべての地域で同様に更新されているわけではありません。新たな自動車メーカーもまた、自国市場からの輸出を前提として、有名メーカーがひしめき合う世界市場に進出しています。そして、国内以外の市場で車両を生産しているすべての自動車メーカーは、自社のサプライヤーからの部品の現地調達を希望しています。 

国内市場が飽和状態になったことで、先進工業国では国内の生産能力が発揮されなくなってきました。競争の激化により価格のプレッシャーをますます受けています。自動車メーカーは、そうした状況を自動車部品製造の鋳造工場も含むサプライヤーに丸投げしています。というわけで、特にブレーキディスクやブレーキドラムの製造業者は、新たな戦略を立てることを余儀なくされています。 

鋳造業界への過剰で絶え間ない圧力は今に始まったことではありません。このため、各鋳造所では自社の生産体制を詳細に繰り返し分析し、一つ一つの工程を最適化させるため懸命な努力を払っています。しかし、まるで「宗教的」なルーツでもあるかのように基本的要件が決定され、いったん造型工程が決定されると、それは不動のものとなります。造型工程に関する真実や噂はさまざまあり、それらはしばしば混同されます。 

アフターサービス市場についての情報が非常に不透明なのは、ブレーキディスクの世界的な販売に関する詳細データがそろってないことを表しています。そこで当社の市場データと自動車システムサプライヤーからの情報に基づいて調べてみますと、毎年約650万トンのブレーキディスクが世界中で製造されていると推定されます。これらは、縦割無枠式造型ライン、水平割枠付/無枠式造型ライン、そして手込造型により製造されています。そのうち、91ヵ所の鋳造所にて現在DISAMATIC造型ラインが149ライン、DISA MATCH造型ラインが6ラインそれらの生産に貢献しています。現在、ブレーキディスクおよびブレーキドラムの世界生産量におけるDISAMATICラインのシェアは年間約350万トンです(表1)。下の表1は、それら鋳物部品の生産におけるDISAMATICのシェアを示しています。

画像1:大型ベンチレーテッド式ブレーキドラム(トラック)

ヨーロッパ

北米

南米

中東

アフリカ

アジア

DISA 230/2013 24 20 15 1 2 43
DISA 240/250/2130 5 9 3 - - 9
DISA 270/2070 5 4 2 - -
DISAMATIC 2110 - - - - - 7

合計

34 33 20 1 2 59

 
1:ブレーキディスク製造用の造型機の好みは大陸ごとで異なります。

ブレーキディスクの製造用に最近納入された50の造型ラインのうち、3分の2がアジアに出荷されました。これは、同市場がまだ成長し続けているという明白な証と言えます。

新しい投資を決定する段階において、投資コストと将来の運用コストが最も重視されます。

投資コスト

工場へのサプライヤーの見積もりには土木工事という項目が含まれていないため、初期費用の計算で基礎工事費用が見逃されがちです。多くの場合、縦型造型においては、表面偏差±20mm程度の単純な基礎板一枚で十分です。最大たわみは型ずれの要因となるため、0.1mmを超えないようにすべきです。造型ラインの下にピットを設ける必要なく、板は地面に設置されるので、最大曲げ応力などはあまり関係ありません。 

縦型造型ラインのシンプルで省スペースな設計は、コスト面でさらなるメリットをもたらしますが、ひと目では分からない場合もあります。縦型造型技術の大きな利点は、2個の半分の鋳型を一つの砂型で同時に造型してすぐに前の型と合体させることにあります。これにより、鋳造工場の作業現場で非常に高い生産密度をもたらすことができます。この生産密度という値は、造型ラインと点検エリアを含めた面積に対する年間生産歩留まり能力を調べることで容易に数値化できます。所要床面積の計算は図1に示されています。DISAMATIC造型ライン自体の所要床面積に加えて、点検に要する面積も考慮する必要があります。DISAがブレーキディスク製造用に開発した造型ラインは、年間生産歩留まりで100t/m2以上を達成しています。一方、シングルタイプ2台もしくはツインタイプの造型機で水平割された高性能ラインでは、マルチフロア冷却ハウスを用いても同能力の約3分の2しか達成できません。

省エネルギー

鋳造工場における消費エネルギーの削減は、長年にわたり重要な課題でした。これまで、消費量の最も多い溶融工場での消費エネルギーの削減に重点が置かれていました。造型部門は生産全体[1]の約812%を占めるにすぎませんが、それでも大きな節約の可能性があります。造型工場のエネルギー消費は、サンドプラントと造型ラインとに分けられます。そして、導入されている造型技術の種類により異なりますが、造型ラインは造型工場の総エネルギー消費の3055%を占めています。 

軽量設計基準に基づく頑丈な縦型造型ラインをシステマチックに使用すればエネルギー消費を大幅に削減できます(表2)。販売可能な鋳造物1トン当たりに要するkWhという単位で、平均年間消費量を算出することができます。高効率化のためには、3シフト体制で生産に取り組む必要があります。そこで、純生産量に対する造型ライン(造型機、コアセッター、鋳込みライン、冷却ラインで構成)の年間生産時間と実際のエネルギー消費量を算定してみると、消費量が10kWh/t未満に削減できる可能性がはっきりと示されています。 

この結果を基に、DISAMATIC縦型造型プロセスを他の造型プロセスを比較すると、DISA社の予想通り、DISAMATICエネルギー消費量はフラスクラインでの消費量の約20%にすぎませんでした。

画像2:DISA 270-Aベンチレーテッド型ブレーキディスクの鋳造クラスター

平均消費電力(kW

接続負荷(kVA

DISA 231 55 85
DISA 231 FAST 60 85
DISA 240 75 105
DISA 250 90 145
DISA 270 110 155
2DISAMATIC造型ラインの消費電力

ブレーキディスクやブレーキドラムの生産では、できるだけ低いコストで可能な限り生産能力を上げることにより、鋳物1個当たりのコストを下げることが必要です。DISAMATIC造型プロセスは、これらの要件を他のどの機器よりも満たします。機械設計はシンプルかつ堅牢で、必要となる追加のメインドライブは多くて2つだけです。1つは造型機用で、もう1つは鋳込みラインと冷却ライン用です。鋳型の縦割により、鋳型キャビティの通気だけでなく湯口系の配置も分割線内で行えます。

通気装置やドリル装置(枠あり造型でよく見られる)など障害の発生源となるような物は必要ありません。通常、生産には1つの冷却ラインしか必要としないため、クロスオーバやドライブも不要です。 

鋳型枠がない(無枠式)というのは、型抜きの必要がないことを意味し、生砂との分離が容易に行えます。また、パレットと鋳型枠の再循環や洗浄の必要もありません。枠付ラインで必要とされる追加の機械類や工具類は、さらなる投資コストの増大につながり、場合によってはそれらだけでDISAMATICラインの投資コストに匹敵することもあるので、鋳物単価を決定する際に十分検討する必要があります。また、枠付ラインやそれら駆動装置に起因する干渉レベルも考えると、稼働率は縦割無枠式システムの方が優れています。 

継続的なサービスやスペアパーツのコストは、鋳造工場ごとで異なりますが、外部発注をベースにすると、年間投資費用の約3%と見積もることができます。この金額比率は各プロセスで似通っているかもしれませんが、絶対的な費用負担は決して同じではありません。 

投資コストを考慮しても、生産強度、資源消費、稼働率、メンテナンスなどに関連するすべてのコスト面で、縦型造型技術の方が有利であることは明白です。もう一つ重要な点として、純生産量、鋳物品質、金型表面組織を決定づけるアプリケーション技術も備わっています。

 

画像3:DISA 240-C用ベンチレーテッド型ブレーキディスクのパターンプレート

応用

DISAMATICの大きな利点の1つは高速処理にあります。しかし一方で、高速処理では極めて短い鋳込みサイクル時間が要求されます。つまり、鋳込み処理を高速処理とうまく組み合わせるためには、相応大きなサイズの湯口系が必要となります。また、鋳込み速度を上げると不良率もそれだけ高くなる可能性があります。そこでDISA GIFA 2011DISシステムを導入し、鋳型の列をダブル(二重)インデックスできるようにして、2個の鋳型の同時鋳込みにより鋳込み時間を延ばしました。同時に、このダブルインデックスによりもたらされる利点を鋳造工場が鋳込み面でさらに活用できるソリューション技術も数社のサプライヤーから提供されました。  

こうした開発により、さまざまな形で性能面の向上に貢献しています。鋳込み時間を長く取れるようになったおかげで、湯口系の断面積を縮小することが可能となり、その分追加の鋳物用にスペースを空けるか、またはキャビティカットの改善をすることができます。また、鋳型列の鋳込み時間を長くできること、そして2個の鋳型を同時に鋳込むことができることという2つの利点はすなわち、鋳込み時間が造型ラインのサイクル時間を決定するとも言えます。そして、追加の鋳型に鋳込み時間を十分とれるので、鋳造欠陥の数もさらに減少します。このようにして、2つの利点の部分的な組み合わせが可能なのです。これらの利点を表3に示します。

シングルインデックス

ダブルインデックスI

ダブルインデックスII

鋳型1個当たりのブレーキディスクの量

4 4 4

ブレーキディスクの直径(mm

270 270 270

ブレーキディスク1個当たりの重量(kg

8.5 8.5 8.5

鋳込み時間(秒)

10.4 13.3 10.4

鋳込み速度(kg/s

~4.5 ~3.5 ~4.5

歩留まり(

~79 ~82.5 ~79

クラスターの重量(kg

~ 43.0 41.2 ~43.0

必要溶解能力(t/h)〜13.3

~12.5 ~13.3 ~15.9
ブレーキディスク(1時間当たり) 1160 1288 1480

造型ラインのエネルギー使用量(kWh/t

12.4 10.0 9.7

生産密度t/m2

~95 ~105 ~120
3:ダブルインデックスを用いたDISA 270-Aの性能向上例

画像3は、表3の情報のベースとなるクラスターを示します。シングルインデックスを用いた場合の湯口系の計算方法は、ダブルインデックスの場合と同じようになります。違いは、湯口系の断面積にありますが、これを視覚的に(写真3)で見ることは非常に困難です。ダブルインデックスを用いて鋳込み時間を10.4秒から13.3秒まで延長することにより、鋳込み速度を4.5kg/sから3.5kg/sに下げることができました。これは、とりわけ、受湯口の大きさをNo.5からNo.4に縮小できたことを意味します。パターン(ひな型)までの湯道の長さと湯口の断面積もまた縮小でき、これにより、歩留まりの3.5%の増加が可能になりました。同時に、造型能力は金型290/時から322/時に増加しました。しかし、鋳込み速度が4.5kg/sでもまだ79%の歩留まりにて行うことができるので、ダブルインデックスを用いて造型能力を370/時に増大させることも可能です。 

ブレーキディスクの製造において水平型と縦型の造型工程を比較すると、鋳造欠陥の性質は基本的に異なりますが、不合格率は同等です。縦線上に生ずるミクロポロシティは、横線上のブローホールに対応しています。熟練した鋳造作業者であれば誰もが、それぞれの工程で発生するそれらの問題を認識しており、またそれらの欠陥を修正する方法も知っています。 

これら二種類の製造工程を用いがブレーキディスクを機械加工し車に取り付けた後では、それらの工程間において検出可能な差異はありません。世界的に活躍している大手自動車会社でも、縦型または水平型にて製造されたブレーキディスクについて、長期間の性能に質的な違いがないことを確認しています。 

共通する欠点(特に大型DISAMATIC造型ライン)としましては、鋳込み中に発生する溶鋼静圧です。1977年以来、鋳型の高さが700および800mmの縦型造型ラインが鋳物工場で使用されていました。最初のDISAMATIC 2070-Aが、ブレーキディスク(金型寸法700 x 950mm)の鋳物工場で稼働を開始したのは1979でした。したがって、当社はそうした問題の解決に関して35年の経験を持っています。ただ、溶鋼静圧の影響は湯口系で処理できますが、それには限度があります。高さが800mmを超える金型に関しましては、造型機のサプライヤーとして、ブレーキディスクの製造には推奨できません。 

パターンプレートを介した砂型の両面スクイーズ処理は、鋳型表面の最大硬度を保証しますが、その硬度は鋳型の中心に向かって幾分減少します。縦型造型のこの自然な利点を水平枠付工程において満たすには、パターン・ボルスタープレートに二次充填フレームを一体化させる必要があります。この二次充填フレームは、鋳型枠の境界部において鋳型の安定性を高め、希望する低い抜き勾配を確保するために使用されます。 

枠付ラインにおいて、クロージング装置は上型と下型を閉じるよう要求されますが、調整段階で機械的に決定されたクリアランスと一致しないリスクがあります。また、すべての型枠のピンとブッシュの摩耗を継続的に監視しておかなければなりません。一方、縦型ラインでは、完成した鋳型は、パターンプレートのガイドにより鋳型チャンバーから押し出され、先に完成した鋳型と触れ合うように配置されます。これは、型ずれの可能性やその結果生じるフェトリングを高くする必要性が大幅に低減されることを意味しています。 

縦型工程では、鋳型上端に来るパターンプレート表面に接着された細長いストリップは、鋳込み中に鋳型キャビティを通気するうえで十分です。よって、通気孔のための穿孔やドリル加工も必要なくなり、それにより発生する造型物内の損傷も回避されます。

画像4:DISA 240-Cラインにベンチレーテッド型ブレーキディスクの中子をセットするロボット

生砂

造型技術の選択はまた、生砂の流れにも決定的な影響を与えます。水平型鋳造では、上型をオーバー・スクイーズすることによって砂の量をある程度調整することができます。金属対砂の比が13から1:12の範囲になることは珍しいことではありません。しかし、サンドプラントにおいて、変化に応じて 砂の冷却と均等化を行うことは難しい課題となります。そして、その結果生じる品質問題は、生産結果にかなりの影響を与えることになります。また、使用する生砂を40℃の温度で最適調製する必要もあります。

一方、調節可能な鋳型の厚さで縦割にした造型システムは、この点についても有利であることが判明しています。縦型造型ラインのPLCは、一定の鉄と砂の比率を計算してくれます。もっとも、鋳造工場では、ブレーキディスクの製造時にパターンの位置が低いことを利用して、それぞれの必要に応じ調整することもできます。ただし、この場合は上の範囲には達しません。この定率は、鋳型砂に対する熱負荷が比較的均一であることを意味しています。これはあらゆる工場での鋳物品質部門にとってありがたいことです。横型の枠込め式造型装置で発生する砂のオーバーフローは、縦型工程では事実上存在しません。つまり、鋳型サンドプラントを小さく設計することができ、エネルギー消費もそれだけ節約できるというわけです。

画像5:DISA 240-C、ベンチレーテッド型ブレーキディスクの中子を2個備えた鋳型

韓国のHyundai Sungwoo Automotive社での経験

韓国の鋳物メーカーHyundai Sungwoo Automotive社は、19875月、韓国の浦項市で900×700×250/250mmの枠付き造型システムを用いて生産を開始しました。そこでは6万平方メートルのエリアに410人の従業員が働いています。同鋳造工場の年間生産能力は148,000トンです。2013年には121,000トンの鋳物が生産されていましたが、2014年には127,000トンに増加しました。同鋳造工場はGJLおよびGJSの自動車用鋳物を生産しています。2012年に造型機が交換され、ブレーキディスク製造サイクル時間は15.2秒が可能になりました。2005年に、鋳型サイズ600×850×150mm500mmでサイクル時間9.3秒のDISA 240-C造型機が2台、ブレーキディスク製造用に割り当てられていますが、これとは別に、同規模の枠込め式造型設備があり、他の自動車用鋳物部品を20秒のサイクル時間で生産しています。ブレーキディスクを製造するすべての設備は、冷却ドラムおよび連続ショットブラストマシンに直接接続されています。 

2013年において、両設備の生産の流れは同じようなもので生産時間は約4,500時間でした。これは枠付造型設備と2台のDISA 240-Cマシン設備とで性能を直接比較できることを意味します。両システムはブレーキディスクのみを製作しますが、寸法が違うためそれぞれ別々に出荷されています。 

この DISA 240-Cには、コアセッターロボットに中子を搬送するためのフィルターコアを含む高剛性の搬送システムが備わっており、 中子とフィルターコアの双方が定位置に配置されています(表4および表5)。システム効率を良くするため、DISAMATICでは直径260325mmの範囲のブレーキディスクが製造されます。一方、水平型造型ラインでは 小さいディスクも大きいディスクも製造され(写真7および写真8)、1つの鋳型ボックスにつき6枚の小さなディスク、もしくは2枚の大きなディスクを製造していますが(表4)、DISAMATICでは常に鋳型1個当たり2枚のディスクを生産しています。

設備

生産量(トン/年)

鋳物数量(個/年)

合計スクラップ数

造型ライン関連のスクラップ

枠付ライン

42,000 4,128,592 30,703 (0.8%) 17,217 (0.40%)
DISAMATIC 43,000 3,433,961 24,576 (0,74%) 5,151 (0.15%)
42013年における水平型式および縦型式の設備での生産比較

各造型ラインでスクラップとなった物の不良原因は以下の通りです(表5)。

設備

砂の混入

型割れ

型ずれ

中子の破損

鋳バリ

黒皮

枠付ライン

76.55% 16.32% 0.2% 6.52% 0.37% 0.13%
DISAMATIC 93.32% 5.49% 0% 1.06% 0.11% 0%
5:両造型ラインのスクラップ比率分布(表4を基に)

しかし、造型ラインが原因で引き起こされるスクラップの割合は、目標とする不良ゼロへ非常に近づいています。

各工場の歩留まりとスクラップ率との比較により、アップタイム(実質稼働時間)の比較もできます。正確な比較データにつきましては、Hyundai Sungwoo鋳造工場より入手可能です(表6)。

設備

アップタイムの合計

ダウンタイムの理由

ダウンタイム(%)
DISAMATIC 94%

パターンの交換

1.4

機械の故障

1.8

鉄待ち(材料交換)

1.2

合金交換

1.0

他の理由

0.6

枠付ライン

94%

鉄待ち(材料交換)

2.7

機械の故障

2.5

自動注湯装置から金属の除去

0.3

パターンの洗浄

0.1

パレット車の変更

0.1

他の理由

0.3
6:ダウンタイムのリスト

鋳造工場における優れた管理により、生産・保守管理部門は両設備で非常に高い稼働率が見込めます。彼らは予防保全を実施し、スタッフにも稼働率を継続して向上させるよう教育しています。

画像6:ベンチレーテッド型ブレーキディスクの中子を備えた枠付き鋳型

鋳鉄は、パターンおよびパターンプレートの両方のプロセスに使用されます。各プロセスでの(廃棄されるまでの)期待寿命は400,000サイクルです。韓国市場では、同等のパターンに要するツールのコストにかなり差があり、DISAMATIC造型プロセス用の中子を作るための中子取りのコストは、枠付ライン用の同等の中子取りにかかるコストの70%にしかすぎません。また、縦型プロセス用のパターンおよびパターンプレートの価格についても有利で、枠付ラインで使用されるもののわずか74%となっています。 

鋳物の型ずれ部や寸法精度に関しては詳細なデータがありませんが、これら二種類のプロセスの間に大きな違いはないようです。すべての鋳物の直径に機械加工用として5mmが加算されます。機械加工は自社内で100%行われるので、品質問題が発生した場合でも直接フィードバックできます。 

DISAによって開発された湯口系は合理化されているため、同鋳造工場は歩留まりを大幅に最適化できるようになりました。従来の湯口系の技術を用いた2枚のディスクの注湯材料の総重量は35.9kgで、そのうち受口と湯口系が12.9kgを占め、結果として歩留まりが64.7%でした。しかし、新技術の導入により、受口と湯口系の重量が8.2kg、注湯材料の総重量も31.4kgに減少し、歩留まりが73.9%にまで増加しました。枠付き鋳造設備の歩留まりは73%です。 

この鋳造所では、これら二種類の造型設備による消費電力の比較はできませんが、縦型造型プロセスにはかなりの利点があることは間違いありません。ただし、フィルターユニット、振動コンベヤ、砂供給装置、ベルト、冷却ドラムを含む各生産ラインのエネルギー消費量を比較することは可能です。枠付生産ラインでは、1時間当たりのエネルギー消費量が625kWhですが、DISAMATIC生産ラインでは232kWhしか使用していません。いずれの数値にも、加熱された鋳込み装置による電力消費は含まれていません。また、どちらのシステムも、それぞれ異なるメーカーの独自の生砂調合設備(各120t/h)を備えています。この設備は、生産ライン間の距離があること、また生砂の需要が異なるために必要となります。2013年では、縦割式用の製砂設備の消費電力は平均530kW/hであり、水平割式用の製砂設備の消費電力は540kW/hでした。

画像8:型枠ラインのパターンプレート

画像9:Hyundai Sungwoo社鋳造工場で機械加工されたブレーキディスク

画像10:Hyundai Sungwoo社鋳造工場で機械加工されたブレーキディスク

まとめ

この記事では、ブレーキディスクの製造において、縦割枠なし造型ラインと水平割枠付造型ラインを使用した場合のさまざまな側面を比較しています。第1章では、投資コストの面で縦型造型プロセスの方の利点を述べています。そして、鋳造の所要床面積1平方メートル当たりのトン数を単位とした年間生産密度について言及しています(所要床面積は生産活動において重要な要素です)。また、生産された鋳物量と比較した造型ラインの年間エネルギー消費量も検討され、ここでもDISAMATIC技術の明白な優位性が証明されています。縦型造型プロセスの技術の応用の効果について試験や開発が行われています。歩留まりや生産量の増加は、鋳造工場でのさらなるコスト最適化につながります。 

2章では、韓国のHyundai Sungwoo社鋳造工場の生産データに基づいて、ブレーキディスク製造における二種類の造型技術(図9と図10)の比較が行われています。これら2種類の設備は数年間操業しており、そのメンテナンス経験から我々も学ぶことができます。ここでは、装置の性能、スクラップ率、アップタイムなどが比較されています。この場合、二種類の技術間で性能、歩留まり、品質に大きな違いは見られませんが、それでもDISAMATICの造型プロセスは、金型コストやエネルギー消費の面で優位性を示しています。 

[1] Institute of Foundry Technology gGmbH(鋳造技術研究所): 「エネルギー効率の良い鋳造工場」(バージョン1.0)デュッセルドルフ2008